「恋する暴君」好きの個人blog。BL、二次創作に興味のない方、18歳未満の方はご遠慮ください。
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パラレルss 牧神の午後 〜恋する暴君クリスマスパーティ!2016〜

今夜はクリスマス・イブですね。
「どこからくるんだろう」ミナトさまの主催で、「恋する暴君クリスマスパーティ!2016」開幕です。

有志の皆さま方で、12月24日の今宵一晩、ブログなど一斉更新するクリスマスパーティが開かれます。
すてきな面々がクリパに参加されていらっしゃいますので、どんな方がいらしているのか、ミナトさまのブログに飛んで、楽しんできてくださいね〜!(^-^)/

僭越ながら、私も参加させていただきました。
ミナトさま、企画および取りまとめを、お忙しい中ありがとうございました!

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「 牧神の午後 」


 あるところに、一人の牧神がおりました。
 牧神(パーン)──半獣半人の神です。山羊の角に尖った耳を持ち、上半身は人間ですが下半身は山羊で、柔らかな獣毛に覆われておりました。
 この牧神は色白で、腰近くまでのびたサラッサラの髪、やや三白眼ぎみのうす茶色の瞳に、うす桃色の乳首をしておりました。ええ、牧神は服など着ません。いつも生まれたままの姿です。
 牧神の名前は、宗一といいました。
 お尻の割目の上からぴょこんと出た短い尻尾が、ときにフリフリするのがキュートです。二つに割れた蹄で、器用に森の中も岩場も駆けめぐります。
 牧神というからには、牧羊の神さまです。今日も今日とて、放牧した羊を呼び集めるため葦笛を吹こうとしますが──
 フーッ、フーッ
「ええ、くそっ!」
 神にあるまじき悪態をついて、宗一は葦笛をパーン! と、岩にたたきつけました。なんということでしょう、宗一は牧神のくせに笛がド下手で、せっかくの美声も調子っぱずれという、残念な子だったのです。
 牧神といえば女好き遊び好きで、笛も歌もお手の物のはずですが、どうやら宗一は、牧神の中でもみそっかすのようです。しかし、その溢れる性的魅力は群を抜いて高く、チョモランマ級でした。笛が鳴らなくても歌がお経になっても、宗一のもとには男女構わず押し寄せてきましたが、彼はどれも構わず切り捨てていきました。みそっかすな牧神は、恋愛にまったく興味がなかったのです。
 あんまり毎日うるさいのを嫌がって、宗一は、人も神もめったに来ない山奥に引っ込み、日々、羊たちと暮らしました。羊たちも慣れたもので、「ええ、くそ!」パーン! の音が風にのって聞こえると、宗一のところへ自主的に戻ってくるのです。

 ところが、今日はいつもと少し違っておりました。
 羊たちの中に、葡萄を冠のようにした仔鹿が一頭、紛れ込んでいたのです。
 仔鹿は、宗一を見るなり鼻血を噴き出し、ポン! と変化がとけて、一人の若い青年の姿に姿形(なり)を変えました。
「てめえ、何者だ?」
 鼻血がとまらない青年に、しっしっと手で追い払う真似をしながら、宗一が訊ねました。青年はティッシュで鼻をふさぎながら、頰を薔薇色にそめて答えました。
「俺は、ディオニュソスの森永といいます。あ、あなたのお名前を教えてください牧神(パーン)さん! 生年月日とスリーサイズ、できれば血液型も! 好きな食べ物は? お酒は好き?」
 宗一が牧神らしからぬ牧神なら、森永はいかにもディオニュソス神らしいディオニュソスでした。
 ディオニュソスは英語でバッカス、酒と豊饒の神です。ついでに言えば歓楽も司ります。豊かな黒髪に大きな黒い瞳、人好きのする甘いマスク、ひらひらの薄物をまとう肢体は細身に見えながら、しっかり筋肉の発達した隠れマッチョ。宗一とはまた違う性的魅力の塊でした。宗一の質問に答える態で、ちゃっかり宗一の個人情報をリサーチする手の早さです。
「おまえ、ディオニュソスなんか。……は、だから葡萄を胸に抱いてるんか、なるほどな。で、そいつがなんで、こんな辺鄙なところへ来た? 街の盛り場でワインぶちまけて、女はべらせてそうなもんだが」
 とたんに森永の顔が曇ります。
「俺は女をはべらせたりしません。俺は……いろいろあって、神々や人の間にいるのがつらくなってしまって……」
 それまで高揚していたのが嘘のように、顔をうつむけ、暗い眼になってしまいました。宗一は、女をはべらせたりしないという森永を意外に思いました。見た目はモテそうなのに、わからないものだ。自分と同じように恋愛に興味がないのだろう、それで街にいづらくなったのかと一人合点した宗一でしたが、なんとも盛大な勘違いでした。
 森永は恋愛に興味がないどころか、女の代わりにわんさか男をはべらせていた、名うてのプレイボーイだったのです。それが、真崎という美しい男の妖精(ニンフ)をめぐり、兄の国博と大立ち回りをした結果、恋にも家族の信頼にも破れて傷心のまま逃げ出し、こんな山奥まで彷徨(さまよ)ってきたのでした。
 そんなこととは知らぬ宗一は、
「俺は牧神の宗一。八月二日生まれ、スリーサイズは知らん。A型。好物は手羽先と酒だぞ」
 律儀に答えてやります。ちょろい。
「宗一さん。俺、行くところがないんです……。厚かましいお願いですけど、よかったら、宗一さんのもとに置いてもらえませんか?」
 森永は、大きな身体を小さく丸めて、群れからはぐれた仔羊のような眼で宗一を見つめ、哀願しました。
「いいけど、タダ飯は食わせんぞ。おまえ、笛は吹けるか?」
「笛も歌も、踊りも得意です」
「笛だけで構わん」
 宗一は、森永を置いてやる代わりに、牧羊の仕事を手伝わせることにしました。芸事にしか能がなさそうに見えた森永は、いざ一緒に暮らしてみると家事の腕は天下一品、力仕事も笑顔で請負う、まことに気のいい男でした。自分よりでかい男が、宗一さん宗一さん、と懐いてくるのも、いじらしくて可愛らしいものです。
 いつのまにか宗一の家の台所は最新式のシステムキッチンに入れ替わり、森永は週に何度か街に出てはセール品を上手に買い求め、宗一の放漫家計をただして貯金もしっかりしているようです。冷蔵庫には宗一好みの銘柄のビールが、地下のワインセラーには森永が自分のワイナリーで作らせたという酒が、何本も寝かせてあります。
 すっかり二人暮らしが当たり前になったある日、森永が「温泉を見つけましたよ」と、宗一に報告してきました。
「温泉?」
「はい! 気分を変えようと、ひとつ向こうの川まで水浴びに行ったときに見つけたんです」
 川の中に温泉が湧いていて、天然の露天風呂になっているとのこと。風呂好きの宗一は、さっそく森永に連れていってもらいました。

「は〜、極楽ごくらく……」
 うららかな昼下がり、川中の温泉に浸かって、宗一は思う存分手足をのばして満喫しておりました。
 湯の中に沈んだかと思えば、尻尾だけ湯の上に出してぷかぷか浮いたりします。効能はなんだろうな、と言いながら、手で腰をさすり、肩に湯をかけます。
「森永、どうした! また鼻血が出てるぞ」
「大丈夫、気にしないでください」そう言って森永は、鼻血が出るに任せていました。やおら薄物を脱ぎ、一糸まとわぬ姿になると川に足を差し入れ、ざぶざぶと温泉まで歩いてくると、宗一の後ろに身体を沈めます。
 背後からただならぬ気配を感じとった宗一が、場の空気を変えようと話しかけました。
「あ……あのな、森永、鼻血が出ているときに身体あっためるのは、まずいんじゃねえの」
「大丈夫です、もう止まりました」
 森永が棒読みで答えます。
「おまえ、よく鼻血や耳血出してるよな。なんか悪い病気にかかってる、なんてことはないよな?」
「病気……」
 一拍おいて、おごそかに森永が告げました。
「確かに、俺は病気にかかっています」
「いつから!」
 思いがけない返事に宗一が振り向くと同時に、両腕と腰が、森永の両手と太腿でがっしりと挟まれてしまいました。
「いつから……? あんたを初めて見たときからです」
「嘘つけ! おまえピンピンしてたじゃねえか!」
「あんたみたいな牧神、初めて見ました」
 もがく宗一に、いっそう拘束を強めながら、森永は続けます。
「遊びにも恋愛にも興味ないくせに、こんな色っぽい身体しちゃって……」
 つつ、と森永の指が宗一の胸にすべります。
「あッ!」
「宗一さん、初めてだよね? なのに、なんでこんなに敏感なの?」
「あッ、あッあぁん」
「ここも、こんなところも……? なんていやらしい身体なんだ……」
 未経験で人一倍感じやすい牧神なんぞ、百戦錬磨の床上手であるディオニュソスのゴールデンフィンガーにかかっては、なす術もありません。
「も、もり……なんか硬いのが当たってんだけど!」
「はい。病が高じて、もう限界まで来てます。俺の病を治せるのは、宗一さんだけ……」
 宗一の耳許に、熱い息が吹きかけられました。宗一のとがった耳が力なく垂れ、尻尾がぴこぴこ揺れます。
「なんの! 病気だよっ」
 涙をこらえ、よだれをたらしながら宗一が必死に聞き返しました。
 ふっ、と森永が笑い、ぐいッと腰を進めました。
「恋煩いです」
「あ───! あんッ、あんあんあんあん」

     ※

 宗一が仔羊だと思っていたのは、羊の皮をかぶった狼でした。

 思いを遂げたディオニュソスでしたが、恋煩いは治るどころか、恋の病は深化の一途をたどったようです。
 愛を知り、男を知った牧神はますますエロい身体になり、あらぬ心配をする恋人としょっちゅう痴話喧嘩をしては仲直りを繰り返す、バカップルになりました。どんなふうに仲直りをするかは、もう皆さんおわかりですよね。リア充爆発しろ。






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山羊の尻尾は短くて、上か垂直に向いているそうです。それがフリフリぴこぴこするの、可愛くありません?
森永くんがセクハラオヤジというか、HENTAIですねw 見た目さわやかなのに……。
今回はケモミミということで、兄さんは牧神ですが、神さまでの対比にするなら、森永くんのディオニュソスに対して、兄さんはアポロンですな。でも、そっちだと妙にシリアスになりそうなので、やっぱり兄さんはエロい牧神でいいと思います(^-^)

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チョロくて笛が下手で音痴な兄さんと、 百戦錬磨、床上手、ゴールデンフィンガーな森永氏!? なんなんですか!? この組み合わせ?? 一話に萌え詰め過ぎですよ、itさん!!
Toby | 2016/12/24 13:36
>Tobyさん
盛り盛りに詰め込みました^^ 私の一押しは、兄さんがいつでも生まれたままの姿という点です(`∞´*)=3 あと、気持ちいいと尻尾が左右にぴこぴこします。兄さんと森永くんは、いつでもゴールデンコンビですよねっ☆
それはit | 2016/12/24 15:57
めっちゃめちゃ笑いました…!まさかのディオニュソス森永君、がしかし安定のHENTAIだなんて、もう我々読者を笑死させる気満々ですよね。最後の「リア充爆発しろ」がダメ押しでした。。。itさん、最高です!もう一回読み直してきます\(^o^)/
blueblue* | 2016/12/24 16:22
>blueblue*さん
ディオニュソス森永を気に入っていただけたようで何よりです^^ うちの森永さんは、なぜかHENTAI度が高くてですね……ついでに調子にのりやすいです(´∀`*) 同じ狼でも、blueさん宅のは渋い黒狼で、拙宅のは羊の皮をかぶったHENTAI狼というのがなんかもう、一目瞭然ですね!www
それはit | 2016/12/24 23:10
笑いましたともっ!あかん腹の皮よじれるっす(^o^;) ディオニュソス森永…恐るべしまさにオオカミ(クマじゃなかったのね!?)
ちは | 2016/12/25 10:06
>ちはさん
笑っていただけてヤッター!^^ ぴゅあな森クマさんのイメージを台なしにするような、変態クマを書く勇気がありませんでしたの〜(^-^;)
まあ、あまりご無体をすると、牧神兄さんの渾身の蹴りが待ってます。蹄だから殺傷力増し増しです。それでも復活するディオニュソス森永……天使の聖剣でも根絶できないしぶとさがウリです(笑)。
それはit | 2016/12/25 16:06
チョモランマ級〜w
流石のエロスですね!

オオカミだったのかー
ええ、もう末永くお幸せに〜

尻尾ピコピコフリフリカワ(・∀・)イイ!!
映像が見えました♪

この度もご参加ありがとうございましたm(_ _)m
ミナト | 2016/12/26 04:22
>ミナトさん
兄さんのエロさはチョモランマ級〜! エロスが、だいぶお笑い方向に行ってしまったような……(笑)
仔鹿だったり羊だったりしましたが、ディオニュソスもりーの本性は狼ってことでw 初めて捕えた極上の獲物が牧神兄さんです^^ 長い尻尾も可愛いけれど、短い尻尾もいいですよね〜。
ミナトさんこそ、企画立案、とりまとめなど、ありがとうございました!
それはit | 2016/12/26 11:42
笑ろた…( ̄▽ ̄)笑い死んだよitさん!乳首の描写は必要なのか…?ええ、勿論必要ですよね!!(´艸`*)。お尻が割れていることも必ず記さなければならない事です。牧神になってもチョロイ兄さんに、色気ムンムンのディオニュソス。最高の組み合わせでした。でもこの二人の愛の営みはかなりと体位に制限があるのでは…?と思ってしまったのは私だけでは有りますまい。その辺も踏まえて、いずれ番外編などにして頂けると大層嬉しいです(=゚ω゚)ノ
綾 | 2016/12/26 16:41
>綾さん
乳首の色もお尻の割れ目も重要事項なので削れませんでした。ディオニュソスもりーの色気、分かってくださいますか! ムンムンですよムンムン。そのうえ絶倫だから、牧神兄さんは大変だと思います(←)
牧神兄さんの下半身は山羊だけど、きっと太腿くらいまでは人間味があるのだと…思いたい……(ノ∀`) そこはもりーが、制限を逆手にとって兄さんをあんあん言わせると思いますw 実際どうなっているのでしょうね〜、ちょっとぼかさせてくだちぃ(^人^)
それはit | 2016/12/27 10:24
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